パパとママへ 【1room -家出少女- 二次創作】

※行間が狭く読みにくいので、「ノクターンノベルズ」で読むことをおすすめします。


●再会
「……うん、綺麗になった」
 磨き上げられた墓石の前で、芹沢夕(せりざわゆう)は一息ついた。
 彼女達が来る前とではまるで別モノのように輝く墓石が、日差しを照り返してきらりと光る。
 夕が手入れしたのは、芹沢家の墓石――ではない。彼女の両親は親戚と軋轢があったため、先祖代々の墓石には埋葬されることはなく、全く異なる場所に位置するこの霊園に納骨されることになった。
 両親と夕は、それだけ憎まれることを周囲にしてきた。報復と言うには陰湿ではあるが、きちんと墓石が用意され納骨されているだけマシなのかもしれない。
 敷き詰められた化粧砂利の上に掃除道具を置き、夕は両親の墓石に向かって語りかけ始める。
「パパ、ママ。……今日はね、伝えたいことがあるの」
 夕は後ろに立つ”おじさん”をちらりと一瞥すると、真剣でそれでいて幸せそうな表情で続けた。
「私、この人と結婚するよ」


●決別

 卒業式の日。夕は”おじさん”にプロポーズをされて、二つ返事で承諾した。
“おじさん”と”女子校生”が、たまたま出会って夫婦になる。頭の中で字面を思い浮かべて、夕は苦笑いを浮かべた。イマドキ、フィクションの世界でもそんな話は描かれていないだろう。事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだ。
(……まさか、本当に結婚することになるなんて。なんだか、まだ信じられないよ)
 夕は窓に映った”おじさん”の顔を見ながら、心の中で独りごちる。
 もちろん、彼女自身”おじさん”の事は心から愛しているし、これからも気持ちはずっと変わらないだろう。
 夕にとって“おじさん”は、恋人であるし、友達でもあり、色々なことを教えてくれる人生の先輩でもある。今の彼女にとって、彼と共に過ごせること以上の幸せはない。事実プロポーズを受けた日の夜は温泉旅行の時以上に燃え上がったし、思い出した今も口元がにやけている。
 それでもどこか現実味がないのは、結婚を実感させてくれる相手が”おじさん”しか居ないからかもしれない。夕には結婚を祝福してくれる知人も友達も居ないし、彼女を引き取った叔父叔母も結婚の知らせを送ったところで気にも留めないだろう。
 夕にプロポーズを快諾されて”おじさん”も数日は有頂天であったが、そこは大人。彼女とずっと一緒に居るために熟考し、彼女がどこか結婚に実感を持てていないことを察して、大きな決意を固めていた。
「……おじさんって変なところで行動力あるよねぇ」
 ――”おじさん”の固めた覚悟とは、夕の両親の墓前で結婚報告をすることだった。
 夕は両親の墓がどうなっているのかを叔母に聞いたと言ったが、教えて貰えていないようだったので、直接叔父叔母に聞くことにしたのだ。夕が覚えていた家の電話番号から連絡し、なんとか話の場を設けることができた。夕から聞いていた話からすれば、話を聞いて貰えるだけでも上々だろう。
 電車酔いをしているわけでもないのに、今にも吐きそうな蒼白な顔をして、夕は不安そうな顔をしている。大丈夫かと”おじさん”が尋ねると、夕は向き直って、
「あはは……ありがと。……おじさんこそ大丈夫? 今すぐ死んじゃいそうな顔してるよ」
 夕に言われて、”おじさん”は電車の窓に映った自分の顔を見た。一緒に映った夕の顔と見比べても、負けずとも劣らない蒼白さ加減である。まるで、夕とはじめて会った時のように手先が冷たい。
二人は、冷たくなったお互いの手をどちらからともなく握り合って、小さく微笑んだ。

* * *

 叔父宅に到着するなり、”おじさん”と夕は手際よく客室に通された。
客室は上質な畳が敷かれた和室で、中心に置かれた座卓を挟むようにして、叔父と叔母が二人の正面に腰を落とす。
 席に着くなり、夕は叔母の顔色をチラチラと伺っていたが、叔母はそれを完全に無視し、”おじさん”を物色するように眺めている。
「できるだけ手短に。夫は芹沢グループの社長に就任してからというもの、社内を改善するため激務をこなしています。あなたに割く時間は本来無いのですよ」
 あくまでも”おじさん”だけを認識している、という口ぶりで、叔母が釘を刺した。今度こそ話くらいはしてくれるかも、と淡い期待を持っていた夕は顔が歪みそうになるのをぐっと堪える。
 “おじさん”はわかりましたと一言置くと、本題である夕の両親の墓のこと、そして夕と暮らすことになったきっかけと、これまでのことを話し始めた。
 一通り話し終えると、叔父はなるほどと一呼吸おいて、
「どうやら、あなたは想像以上にこの娘のことを大切にしているようですね」
 そう“おじさん”を称賛した。ずず、とお茶を啜って続ける。
「兄の墓は、芹沢家代々の墓とは別の場所で管理されています。場所や手続きについては、書類にまとめますので、少しお付き合いいただけませんか」
 拍子抜けするほどあっさりと墓の所在について明かす叔父。あまりに呆気ない展開に”おじさん”は一瞬言葉の意味が汲み取れず、理解まで数秒かかった。
固まっている”おじさん”にかまわずに、叔父はゆっくりと立ち上がってついて来るように促す。ようやく言葉の意味を理解した”おじさん”は慌てて席を立った。
”おじさん”が夕に目配せをすると、夕はぎこちない笑みを浮かべながら「…………大丈夫だよ」と一つ呟く。“おじさん”は小さく頷きを返して、部屋を出る叔父を追った。


 “おじさん”が案内されたのは、叔父の書斎だった。主にノンフィクションの書籍が幾重にも並び連ねられており、新書と古書の入り混じった匂いが鼻孔をくすぐる。
「場所を移す形になってしまって、申し訳ない。あの娘には聞かせられない話もあったものですから」
 デスクからクリアファイルを数冊引き抜き、書類を探しながら叔父が続ける。
「……あなたも芹沢グループの子会社に勤めていたなら知っているでしょう。私の兄――前社長が何をしてきたか。過労死の揉み消し工作に、自身の方針に従わない人間の不当なリストラ。社風というのは、良くも悪くもトップに立つ人間によって左右される。兄が芹沢グループを取りまとめていた時の経営陣のほとんどは、人を駒としか思っていませんでしたよ。酷い有様だった」
叔父の言っていることは、純然たる事実だ。子会社である”おじさん”でさえ激務に追われ、自殺を選びかねない状態にあった。いや、夕と出会っていなければ、いつか必ず自殺を選んでいたことだろう。
「兄は優秀でした。零細企業だった両親の会社を中小に、そして芹沢グループまで発展させるほどに。ですが、その人格は褒められるものではない。私は断固として、兄のしてきたことを許すつもりはありません。そして、幼く善悪の判断がつかなかったとはいえ、兄に同調して周囲を嘲笑したあの娘の行動も、私は許す気にはなりません」
夕から聞いた話から、叔父叔母に謝罪をしたところですぐに解決できる問題ではないと理解していた。何せ、人の生死が関わっていることだ。夕が両親を喪って悲しみを抱えているように、誰かが悲劇を抱えている。
 ――しかし、だ。”おじさん”の脳裏に、プラットホームで今にも死んでしまいそうな顔をした夕がフラッシュバックする。
 夕は両親を喪って、すべてを失いこれまでの行いを悔いただろう。良い子になろうと心を入れ替え叔父叔母に謝罪し、何とか振り向いてもらおうと頑張っただろう。それに同情しろと強制するつもりもないし、夕を許さなかったことに腹を立てているのではない。
激昂した様子を隠すことなく、”おじさん”は叔父に言い放つ。夕に両親の責任をすべて押し付けて、彼女を追い込むのはおかしいのではないか、と。
「あなたがおっしゃることは、もっともだ」
 叔父は動じる様子もなく、”おじさん”の主張に頷く。
「あの娘と、兄は親子だが同一人物じゃない。兄のしたことすべてをあの娘が償う必要はないでしょう」
 ならなぜそこまで、と切り返そうとした”おじさん”の言葉を遮って、叔父は話を続ける。
「私自身はね、あの娘のことを憎んではいません。ただ、許していないというだけです。だから今日もこうして話の場を設けました。それに、あの娘が高校を卒業するまでは、うちで面倒を見るつもりでした。……もちろん、遺産相続や会社の利権を手に入れるために、親権を得ることが必要だった、という側面もありましたが」
 なんと言えば良いのか、どこから説明すれば良いのかわかりませんが、と前置きして、
「あの娘に私が干渉しないことが、幸せなことである……そう表現するのが正しい」
 “おじさん”が怪訝な顔をすると、叔父は書類を探していた手を止め、”おじさん”に向き直った。
「大切にされる人や物は、大切にされるだけの理由がある。あの娘が昔のままなら、他人に好かれ大切にされることなどなかったでしょう。しかし、今はどうか。他人を思いやる気持ちを育み成長して、あなたと相思相愛になっている」
 会社経営でもここまで予想できないことはありませんよ、と漏らした後、叔父は大げさにお手上げのポーズをする。
「……そうはいってもあの娘はまだ子供だ。必要な時期になった時に、あなたから真相を話してほしいのです。私があの娘に干渉しない……いえできない理由も、納得いただけるかと思います」
 叔父の言葉に、”おじさん”は嫌な汗が背中を伝ったのがわかった。
真相、ということは事故ではなかったということだ。確かに、夕の両親が同日に事故で亡くなっていること、社長代行である叔父がそのまますぐに社長に就任したことなど、出来すぎている点は多い。
 夕は大丈夫だろうか。叔父から明かされる真実に耳を傾けながら、”おじさん”は客室に残された彼女のことを気にかけていた。

* * *

 発端は、一人の社員が過労自殺したことからだった。
 当時、芹沢グループの社長であった夕の父親と、秘書を務めていた夕の母親は、高い自分たちの能力の水準で社員に成果を求めており、現場は劣悪な労働環境だった。話に聞くところによれば、亡くなった社員は”おじさん”と同等かそれ以上の仕事量とプレッシャーを与えられ、寝る間もなく働き続けていたらしい。過労自殺してしまった社員がどんな境遇で居たのかは、かいつまんだ説明でも”おじさん”には痛いほど伝わった。
 過労自殺を出してしまった事実をメディアにリークされてしまえば、会社が大損害を受けることは目に見えており、叔父を含む数名の経営陣はある程度の覚悟を決めていたそうだ。
 しかし、社長と半分以上の経営陣の見解は違っていた。
 メディアにさえ取り上げられなければ、明るみになることはない。そう、過労死という事実を揉み消そうと行動をしはじめたのだ。病院に圧力をかけて解剖結果を改ざんし、遺族に対して慰謝料と称した多額の現金で解決を図った。
 ただの社員であったなら、そのまま揉み消すことができていたかもしれないが、そうはいかなかった。過労死してしまったのが、芹沢グループ役員の一人娘だったからだ。
 社長の行動に娘を失った役員は真っ向から対立し、マスコミへ「過労死揉み消し」の情報をリークした。大きな話題に食いついたマスコミはすぐさま情報を元に、新聞・ニュース・ラジオあらゆるメディアから事実を報じ、瞬く間に世間へと伝播していった。
 会社の株価は暴落し、視聴者からのクレーム処理による業務の増加によって社員の負担は倍増し、社長も連日マスコミに追われて経営陣との会話をする余暇もなくなっていった。
 社長の居ない経営陣の会議。そこで、自体はより加速することになる。
社長は始末するべきだ。娘を亡くした役員のその一言から、社長に憎悪を抱えていた一部の役員達が目の色を変えて過激化した。議論は白熱し、次第に会社経営をどう立て直すかという話ではなく、社長をどううまく始末するかの話し合いが続けられることになる。
当時叔父は、社長の弟という立場であったこともあり、社内で三番目の地位を持っていたため、まともな思考を残していた役員達と協力し、過激化する役員達を止めようと連日議論を交わしていたが……――ついに、最悪の自体が起こってしまう。
『過労死のもみ消し工作を裏付ける内部告発が大きな話題を呼んだ芹沢グループは……騒動の最中に社長が亡くなるなど、事件が相次いでいる。』
 娘を亡くした役員と過激化した役員達の計画によって、社長と社長夫人が事故死した。
――このままでは、会社は倒産し職を失った苦しみから、また自殺者が出てしまうかもしれない。それに、一人娘を失った役員は、再び”社長の娘”という社会的地位を得た夕に恨みを向けることだろう。自分の娘は亡くなったのに、何故あの人間の娘が幸せに生きているのか、と。これ以上罪を重ねさせることは絶対にあってはならない。
 叔父は、逮捕される可能性すら覚悟して、ある契約を過激化した役員達に持ちかけた。それは、夕を引き取り受け取った遺産を役員達に分配し、手討ちとすること。
実際に叔父が社長となり社内環境を改善するまでは、状況が落ち着くことはなかったが、最終的には叔父の行動によって事態を収束することができたのだった。


 真相を聞いた後、”おじさん”は叔父よりも一足先に客室に戻っていた。夕と叔母は客室を後にする前からまったく変わらない様子でその場に座っている。
 叔父から聞いた話を脳内で反芻し、”おじさん”は冷たくなったお茶を一口含む。
 夕は「自分が嫌われているから、叔父叔母と関係回復をできない」と考えていたようだったが、それは100%正解ではなかった。
 夕は、人間の尊厳を踏みにじり会社経営を傾けた人間の娘だ。夕自身も周囲に心ない言動をし、嫌われていたかもしれない。しかし、両親の罪を夕が清算する必要があるとは、叔父叔母も心からは思ってはいなかったのだ。
 もしも一人娘を失った役員が、今も夕が”社長の娘”として悠々自適に生活しているところを見れば、叔父叔母にも殺意の矛先が向かってしまうかもしれない。折角収束した混乱が、再び引き起こされ社員達の不利益になってしまうかもしれない。
 だから叔父と叔母は、夕に干渉することなく心を鬼にして生活を続けていた。
「おじさん?」
 不安そうに顔を覗き込む夕に、”おじさん”は「大丈夫」と一言告げる。安心させようと笑顔を形作ろうと試みたが、うまく笑えた自信が無い。どう安心させたものかと”おじさん”が思案していると、クリアファイルを手にした叔父が客室に戻ってきた。
「お待たせしました。こちらが兄の墓についての資料です」
 手渡されたクリアファイルには、霊園のパンフレットと、各種手続きの書類などが丁寧にまとめられていた。
「それから、…………夕」
 名前を呼ばれるとは思っていなかったのだろう。叔父が自分の名前を呼んだことを数秒かけて理解し、夕は「は、はい」と上ずった声で返事をした。声をかけた叔父だけでなく、これまで視線を合わせていなかった叔母も、向き直って夕を見据える。
「本日を持って、絶縁とする」
「え……」
 はじめて名前を呼ばれた嬉しさを噛み締める前に、一転して絶縁を告げられ、夕がかすれた声を漏らした。宝石のような赤い双眸からは、今にも涙があふれだしてきそうだ。
 その様子を見て、叔父は僅かに眉を歪ませたがすぐに表情を戻して、
「芹沢の名は捨て、これからは彼と共に人生を歩むと良い。私達からすることは、もう何もない。彼にも芹沢グループの会社は辞めて貰い、どこか遠いところで自由に生きなさい」
 明確に親子関係を解消する法律は日本にはない。親権を叔父が得た時点で、夕は叔父叔母の娘として戸籍上扱われてしまう。だが、夕と叔父叔母の関係性に区切りをつけ、夕が居なくなったと周囲に認識させれば、夕は社長の娘という社会的地位を失う。
 芹沢夕としてではなく、ただの夕として生きていけ、という叔父叔母の立場から送ることができる唯一のメッセージ。
 夕は嗚咽を漏らし、涙を目にため込みながら「今まで、ありがとう……ございました」とはっきりと感謝を述べた後、ついに号泣した。


「こんな結果になるだなんて」
 “おじさん”と夕が家を出た後、叔母が叔父にそう漏らした。
「ああ、まさかあの娘が幸せに生きていくだなんて、夢にも思わなかった。あの娘が変わろうと努力した結果だ」
 すっかり冷たくなったお茶を飲み干して、叔父は客室から窓越しに青空を見上げる。
「芹沢グループも、これで本当の意味で変わることができる」
 そう言ってしばし空を見上げていた叔父が、座卓に置かれた夕の茶飲みを見やると、二本の茶柱がぷかぷかと浮いていた。


●夫婦関係 

 帰り道、先ほどまで号泣していたのが嘘のように、夕は晴れやかな顔を浮かべていた。
 絶縁された事実にはショックを受けていたが、「はっきりと自分に話をしてくれたこと」、「両親の墓前で話ができるようになったこと」が嬉しいようだ。叔父叔母の本意が今の彼女に伝わっているかはわからないが、少なくとも悪い方向で受け止めているわけではないように見える。
 “おじさん”の前を歩いていた夕が、手を後ろで組んだままくるりと体を反転させて、
「ありがと、おじさん。全部、おじさんが居てくれたおかげだよ」
 前かがみの体勢で、”おじさん”の顔を覗き込むようにして、お礼の言葉を紡いだ。
――もし、おじさんに突き放されてたら私は生きてなかったと思う。
――もし、おじさんが駅に迎えにきてくれてなかったら、私は生きてなかったと思う。
 えへへ、と恥ずかしそうに笑いながら、夕は”おじさん”の隣に移動して腕を絡める。”おじさん”は、そんな夕を見て優しく微笑みながら「そうできるようになったのは、夕のお陰だ」と答えた。
「あはは、そっか。じゃあ私達、良い夫婦になれるかもね」
 そう言うと夕は自分で言った発言を反芻したのか、すぐに真っ赤になって微笑んだ。
 ――もし、夕が声をかけてきてくれてなかったら、自分は生きていなかったと思う。
 ――もし、夕と暮らさなければ、自分は生きていなかったと思う。
夕が”おじさん”に救われたように、”おじさん”もまた夕に救われた。
「じゃあ、次は私の番だね」
 ふと、夕がそんなことを言った。何の話かわからず”おじさん”が問い返すと、
「何って、おじさんの両親にもご挨拶しないとでしょ?」
夕は意地の悪そうなにやにや笑顔でそんなことを言う。そう、これから”おじさん”は自分の両親に対して、10代の女子と結婚すると説明しないといけないのだ。一体どういった説明をすれば、納得してもらえるというのか。
「あはは、これは難題だねぇ」
 ひとしきり笑った後、夕は真剣な表情に戻って、
「でも、私自信ついたよ。叔母さんとは最後まで話はできなかったけど……。もう顔を合わせることもないと思ってたし、パパとママのお墓に行くのも諦めてた」
 そういうと夕は絡ませていた腕を離し、”おじさん”の頬を両手で包み込むようにして掴む。
「だから私も真剣に、おじさんのこと愛してる、大好きって言うよ」
 夕はそのまま”おじさん”の顔を引き寄せると、半ば無理矢理に唇を重ねた。
 はじめてキスをした日のように大切に。そうして、数秒間密着させていた唇を名残惜しそうに離して、満面の笑みを浮かべる。
「これからもよろしくね、――あ・な・た」
 夕日に照らされた彼女の笑顔は、世界で一番美しかった。





【あとがき!!】

夕は両親が亡くなった後、流石に葬儀には出ている(家族葬くらいは最低限しててほしい)と思いますが、葬儀の後は叔父もバッタバタしていたはずなので、お墓ってどうなっとるん……? と考え、今回の形式になりました。

小説の元になっている、1room -家出少女-の各種考察は、以下の記事から確認できます!
>>>【1room】夕の家庭環境について考察してみた ※ネタバレ注意!!
>>>【レビュー】1room -家出少女- を考察してみた!!

本編では、夕とおじさんですべての物語がクローズしており、かなり関係性が閉鎖的です。それが良さであり、尊さがある部分なのですが、あいまいな状態で繋がっている関係性(叔父・叔母など)を清算することも、必要なのではないかと考えました。

正直、叔父・叔母の「無視する」という行動の理由がどうにもつかめず、一番思考を巡らせたポイントです。過労死したのが役員の娘だったと小説では描いており、叔父が会社を守るために頑張ったと書いていますが、もう1つ2つ憎まれている原因があるような気がします。
例えば、夕が過労でギリギリだった役員の娘さんにトドメの一言を発してしまっていて、それがトリガーになったなど。ただ、これは夕も責任を感じて死を覚悟するレベルの重さなので、夕はこの事実を知らないというのが条件にはなりそうです。

色々ダークな妄想・考察もしましたが、兎にも角にも夕とおじさんには、ずっといちゃいちゃセックスをしててほしいですね……!

パルティア教団さん、アップデートと新作もお待ちしていますよ!!

ちなみに!! 短めですがバリバリコメディの小説も執筆しています!
これはこれで面白いかなと思っているので、公開できたら是非読んでみてくださいね!







にじよめ - 二元美少女専門ブラウザゲーム&ソーシャルゲーム














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