芹沢夕は襲わせたい

※行間が狭く読みにくいので、「ノクターンノベルズ」で読むことをおすすめします。


 芹沢夕(せりざわゆう)は、ノートPCの画面に映る「男性をその気にさせる方法」というサイトを見つめて、ううむと思案気に唸る。
(最近、おじさんがえっちしてくれない)
女の子の日でもないし、おじさんの仕事も落ち着いている筈なのだが、ここ数日なぜかおじさんは夕に手を出さないのだ。
(私はこんなに、おじさんとえっちしたいのに……)
 夕は正直そろそろ理性が限界に近付きつつある。おじさんがお風呂に入っている間に、自分を慰めたりもしているが、物足りない。それに加えて、たまたま見つけたサイトに書かれていた”恋人のセックスレスというのは不仲を引き起こす”という一文が、なんとも不安にさせてくるのだ。
(おじさんが浮気するとは思えないけど……。私に飽きちゃったのかな)
 暗い考えがよぎるが、すぐにぶんぶんと頭を振って思考を切り替える。
(たぶん……おじさんは、私から誘ってくるのを待ってるんだ)
 夕はおじさんが居ない間、アダルトサイトやコラム記事、AV女優の投稿動画などで色々な性知識を蓄えていた。その中で、女の子から誘ってセックスをするシチュエーションというのを夕は学んだ。きっとおじさんはこれを狙っているんだ、と夕は当たりをつける。
「でも私から誘うの、恥ずかしいんだよね……」
 我慢ができなくなってきたら、直接誘うのは恥ずかしいので、それとなくセックスがしたいことをおじさんに伝えている。しかし、ここ数日はそのサインも見事にスルーされ続けている状況だ。
 おじさんが喜ぶことはしてあげたいが、夕はどちらかというとM寄りの性分なので、ぶっちゃけ犯される方が好きである。しかも、ここまでお預けにしてくれたのだから、それはもう朝までコースで愛し続けてほしい。
 ここで折れて夕からセックスに誘っても、それはそれで盛り上がりそうではあるが、なんとかおじさんの理性を吹っ飛ばして、手を出させたい。
 うむむ、とまた唸りながらネットサーフィンを続けて、夕は一つ光明を得るのであった。

 ピンポーン、と自宅のチャイムが鳴らされる。夕がネットサーフィンをしているうちに、おじさんが帰宅する時間になっていた。
 夕はあわててブラウザを閉じ玄関まで移動すると、鍵を開けておじさんを招き入れる。
「おかえりなさい」
「ただいま」
 おじさんは居間に入るなり画面が開かれているノートPCを見やって、尋ねる。
「何か調べてたのか?」
(まずい。ブラウザは閉じたけど、画面を閉じてなかった)
 まさかアダルトサイトを見ていた、などとは言えず、夕はとっさに、
「あー、うん、ちょっとプログラミングでわからないところがあって」
「プログラミングを調べてたのか? 言ってくれれば教えるぞ」
「あはは、ありがと。でもおじさんに聞くほどのことじゃないから、大丈夫」
「そうか、何か躓いたら相談してくれよ」
 ほぅ、と胸を撫でおろして、夕はノートPCの電源を切る。
 その様子を見て、おじさんは上着を脱ぎつつ胸中でほくそ笑んだ。
(また今日もアダルトサイトで男の誘い方を調べていたんだろう)
 夕は世間知らずで機械音痴なところがある。おじさんが考えるに、恐らく”閲覧履歴”や”キャッシュ”というものの存在を知らない。夕がどんなサイトを普段見ているかなど、おじさんには一目瞭然なのだ。
 夕が思い至っていた通り、ここ数日おじさんはなんとか夕からセックスを誘ってこないかと、あの手この手でその気にさせようとしている。しかし、夕もまたおじさんの狙いには勘付いているために、膠着状態が続いているのだ。
(今日で夕とは、4日間していない。正直、そろそろ我慢の限界だ)
 学生カップル・実家住まい同士のカップルの平均セックス回数は、月に5回から8回程度と言われている。単純計算で、週に一度か二度ほどだろう。統計から言えば、そろそろセックスに持ち込むタイミングである。
それに、夕とおじさんは双方共に性欲旺盛で、体の相性もとても良い。ここ数日よりも前は、週に一度か二度どころか週に10回以上はセックスしている性欲モンスターである。これで4日間も体を重ねていないというのは、苦行に近い行為だ。
(さて、動くか……)
「夕、今日頼んでいた荷物が届いている筈なんだが、来てたか?」
 夕には注文した荷物を受け取るように頼んである。ドローン配達で有名なあの宅急便のことだ、抜かりなく荷物を届けてくれているだろう。
「うん、届いてたよ」
 そういえばと思いだしたように、夕は段ボールの中に手を伸ばす。
(頼んでおいたのは――媚薬と精力剤! これで期待しないほうが難しいだろう)
 夕はアダルトグッズを見るたびに、かわいい反応をいつも返してくれる。今日は数日溜まった性欲もある、すぐに使ってほしいと懇願してくるだろう。
(さぁ、夕。セックスしたいと誘ってこい!)
 勝利を確信するおじさんだったが――。
(甘いよ、おじさん。中にはどうせえっちな道具が入ってるんでしょ?)
 このタイミングで頼んでいるのだ、そうでない筈はない、と夕は段ボールを見据えながら思案する。
(私に誘わせたいんだから、きっと精力剤とかかな。……あ、やば。ちょっと濡れてきた。……おじさん、すぐに私とえっちして貰うからね)
 おじさんに背を向けながら、夕は段ボールの前で腰を落とす。
段ボールから精力剤と媚薬を取り出し、夕がセックスを懇願してくる様子を思い描きながら、おじさんは夕の後ろ姿に視線を移し、
(っ――!!)
 驚くべき光景に目を奪われた。
 段ボールの前で屈み込んだ夕の制服のスカートから、愛液が垂れた女性器がのぞいていたのだ。つまり、夕はパンツを履いていない。
(これ、すっごく恥ずかしい……けど、おじさんの視線を感じる)
 視線を感じた恥ずかしさと興奮から、さらに愛液が溢れ夕の白い太ももを伝って流れる。
(夕……! 社長令嬢なだけあって、色々とできる子だとは思っていたが……まさか女子校生でここまでレベルの高い誘惑をしてくるとは!)
 おじさんはなんとかギリギリ理性を保っているが、おじさんのおじさんは限界に近い。スーツの中で圧迫されて、今にもはちきれそうだ。
 夕も恥ずかしさがまだ勝っていたのか、長く体勢を続けることはなく、数秒間その体勢を続けた後、荷物を取り出しておじさんに手渡した。
(あ、おじさんから精子の匂いする。えへへ、これはもうちょっとかな……♡)
 たたみかければ陥落する、そう判断した夕は、精力剤と媚薬をおじさんに手渡す際にわざとらしく手を触り、フェザータッチで愛撫した。さらに熱っぽい視線を、上目遣いでおじさんに向ける。
(っ、もう手段は選ばないというわけか!)
 ――勝った! 生唾を飲むおじさんを見て、夕は勝利を確信し、艶めかしくぺろりと舌を舐めずった。
 しかし、おじさんは理性を保ったまま精力剤と媚薬を受け取る。社畜として過ごし続けていたのだ、忍耐力は常人よりも高い。
「あ、ありがとう、後でしまっておくよ」
「え……」
 勝利を確信していた夕は、精力剤と媚薬を受け取って踵を返すおじさんを見て、驚きの声を漏らす。ここまでして手を出されないのは、流石に女としてショックだ。
(でも、おじさんも大きくしてくれてたし、効いてないわけじゃない。まだ押しが弱かったのかも)
 ポジティブに受け止め、夕は移動しようとするおじさんの手をもう一度とって、
「あ、あのさ、おじさん……今日もえっちしないの?」
 再び上目遣いで、おじさんのハートと股間に直接攻撃を加えた。
 おじさんは夕の猛攻に今すぐ押し倒したい気持ちにかられたが――なんとか舌を噛んで、理性を保つ! そして、心を鬼にして返した。
「今日は気分じゃないんだ」
 夕は、驚いたようながっかりしたような悲しいような、複雑な表情をして、
「そ、そっか……おじさんが気分じゃないなら、仕方ないよね……疲れちゃうもんね。あ、私は大丈夫だから!」
 ――嘘である! この女、おじさんと毎日生ハメセックスしたくてたまらない! もう秘部は媚薬やローションなど必要ないくらい濡れに濡れているし、おじさんに求められなかったここ数日は毎日自慰行為に耽っていたほどの色魔ぶりである!
「あ、ああ。気分じゃない日もある。早いけど風呂に入って寝ようか」
 ――嘘である! この男、常に夕をどう犯すかしか考えていない! 夕にどう誘わせるかを考えすぎて、ここ数日仕事にも身が入っていない状態である! 同僚からすればいい迷惑この上ない!
おじさんとしても、夕にここまでさせておいて、お預けさせるというのは心が痛む。据え膳食わぬは男の恥。その言葉の意味が分かった気がする。
(……しかし、まだ手はある。Blu-rayに仕込んでおいたAV。アレを風呂上りに再生させて、夕から手を出させる!)
 ネクタイを外し、おじさんは脱衣所へ向かう。その背後で、なにやらごさごそと段ボールをあさるような音と、何かを見につけるような音が聞こえてきた。
「でも、そっか。おじさん今日はお風呂入ってそのまま寝ちゃうんだ?」
 普段とは異なる少し冷たい印象をした夕の声がおじさんの背中にかけられる。
(なんだ……? 注文した品はすべてそろっている筈。PCの履歴にもネット通販を利用した形跡はなかったし、夕も手は出し尽くしている筈。さっき以上の手なんてあるはずがない)
 話は少し変わるが、夕は元々親戚や友達にも嫌われていた”嫌な子”であった。両親を亡くし、後ろ盾を失ったことで周囲から冷たくされた夕は、”良い子”になろうと努力して、今の夕になった。良い子になったことで、他人の痛みを理解したのだ。
 つまり、夕は他人の心を攻撃する術を理解しているということだ。
 小さい頃から様々な制約を受け溜まった不満やストレスは強い依存と性欲につながり、英才教育は性行為の経験を次に生かす糧となっている。
 そんな夕が本気で出し抜こうとすれば、油断しているおじさんの裏をかけない筈はない。
(おじさんが閲覧履歴を見ているのは、リサーチ済み。だから切り札はスマホから購入しちゃった。……それに、閲覧履歴を見てるのは、おじさんだけじゃないよ?)
 おじさんが後ろを振り返ると、そこには。
 猫耳と首輪をつけ、ベッドに腰をかける夕の姿があった。
(かっ――――かわいい!!)
  相利共生! この世には組み合わせるべくして生まれてきたと言っても過言ではない関係が存在する。クローバーとミツバチ、ワニとハチドリ、バターと醤油。相利共生は、互いのポテンシャルを最大限以上に引き出す。
 おじさんは苛烈な労働環境で自我を失わないために、度々猫の動画を見漁っていた。そしてここに夕と言う容姿端麗で愛する恋人が一人。この組み合わせがおじさんの目にどう映ったかというと――奇跡的相性(マリアージュ)!! この上ない至上の組み合わせが生み出されていたのであった!
 艶やかな黒髪に、うるんだ赤い瞳、スカートから覗く美しい脚。そして、愛らしい黒猫の猫耳と鈴のついた首輪。おじさんの理性は、もはや虫の息になっていた。
 ベッドに腰をかけていた夕に歩み寄り、おじさんは彼女の両肩をつかんで押し倒す。
「きゃっ♡ えへへ、私の勝ちだね。えっちして、すっきりしよ?」
 寝転がった状態で、抱っこをせがむようにして、夕がおじさんに両手を伸ばす。
 そこで、おじさんの理性は完全に吹き飛び、夕のスカートを捲りあげ、乱暴に自分のズボンとパンツを一気に脱ぎ捨てた。天を突くようにいきり立った男性器が、夕の前に出現する。
「うん、もう準備万端だから、そのまま挿れて♡ 今日は生でたくさんえっちしようね♡」
 誘い受けとして類まれな才能を発揮し、夕はおじさんの理性を喪失させることに成功。その日は、夕の膣内に精液が入りきらなくなるまで、激しいセックスが続いたのだった。

 ――本日の勝敗、夕の勝利。おじさんの理性を吹き飛ばしたため。







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2 Comments

ハムオ  

面白かったです。

考察や「パパとママへ」も面白かったですが、個人的には「芹沢夕は襲わせたい」がとても面白かったです。
こういうのを探しており、とても満足しました!
原作より想像していた夕の性格にも完全に一致しているようで、
ゲームの続きを見ているようで楽しめました。
続きがあれば是非読んでみたいです。

  • 2020/01/25 (Sat) 16:16
  • REPLY
しおぱいたん

しおぱいたん  

Re: 面白かったです。

> 考察や「パパとママへ」も面白かったですが、個人的には「芹沢夕は襲わせたい」がとても面白かったです。
> こういうのを探しており、とても満足しました!
> 原作より想像していた夕の性格にも完全に一致しているようで、
> ゲームの続きを見ているようで楽しめました。
> 続きがあれば是非読んでみたいです。

閲覧と感想、ありがとうございます!
今年は、パルティア教団さんの方でもアップデートがあるようなので、
新しいネタを仕入れて何か書けたら良いな~! と思っています!
今後とも、よろしくお願いします!

  • 2020/01/26 (Sun) 17:25
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