四月一日結衣_ロング_ハッピーエンド

●概要

・文字数   : 6593
・演者役柄  : 四月一日結衣
・視聴者役柄 : 社畜のおじさん
・関係性   : 他人→恋人
・場所    : シーンによる
・その他   : ヒロインとの距離感を表現するため、章毎に日をまたぐ構成です




●1日目「×運な出会い」

あ~れれ、おじサンどしたの? そっから飛び降りるの?

ふ~ん。あ、おじサンさ、ライター持ってない?
タバコ吸いたいんだけどさぁ、さっきホテルで無くなっちゃって~。

ん、アリガト。
ふぅ~~これ無いとやってられないよね~。
値段を増やすなら、ニコチンとタールの量も増やしてくれって話だよ~。

え? 別に止めないよ。
この国ではさぁ、な~んと美しきことか、
職業選択の自由、宗教信仰の自由、学問の自由、……あとなんだっけ?
まぁ、とにかく、生きるのも死ぬのも自由ってワケ。

ぷは~。おじサンがいつどこで、夜空に浮かぶセブンスターになろうが、
アタシには止める権利も無いってこと。あと面倒くさいしね。

そもそもさ、これから本気で死のうって決めた人間が、
見ず知らずの誰かの言葉で死ぬのやめちゃうとかドラマじゃないんだからさ~。
アタシだったら、絶対にやめないよ?

ふぅ~~~。でも、そうだね。
おじサンに今ここで死なれちゃうと、アタシとしてはちょい困るかな~。

実はアタシさ~、さっきまでホテルで過ごしてたんだけど、
火事で財布と通帳も一緒にぜ~んぶ燃えちゃって、家もお金も無き子なの。

そ・こ・で、火ぃ借りた恩もあることだし、おじサンの家に泊めてよ。
もちろん、ただでとは言わないよ。
アタシ、こう見えても――……って、見たまんまか。
んべ、こ~んな舌ピしてる女、普通だとは思われないよね~。
男よりも元々が穴多いのに、わざわざ増やしてるワケだし。

……アレ、何の話だっけ?
あぁ~そうそう、アタシ経験人数は、その辺の風俗嬢には負けないんだ~。
だから、おじサンのこと、いろ~んな意味で癒せると思うよ。

アハ、大丈夫大丈夫、アタシ運は良くてさぁ、性病とかなったことないし、
あと事情合って妊娠しない身体だから、生でもだいじょ~ぶだよ。

あ、もしかして後から怖いお兄さんとか来ると思ってる?
美人局(つつもたせ)的な?

アハハ、ウケる~。どうせ死ぬならここから飛び降りても、
殴られて死んでも、コンクリ詰めになっても、関係ないって~。

けどさ、ただで死ぬくらいなら、最後にキモチイイことして、
すっきりして死んだ方が良くない?

アタシもしばらく宿をGETできるし、エロい事も好きだしね~。

ほらほら~。回らないお寿司は高いお金払えばだれでも食べられるけど、
ピチピチの素人はそうそう食べられないんだぞ~。

いえ~い、やった~~。人間死ぬ前でも性欲はあるんだから、面白いよねぇ。
死ぬ前の方が子孫残そうとしてハッスルするんだっけ?

アハ、死ぬほどどうでも良いね。
じゃあ、もう一本吸ったら行こっか。



●2日目「歪な同居生活」

お。おかえり~。

いや~、おじサンすごいね、昨日まで自殺しようとしてたのに、
起きたら仕事行くんだもん。正直ちょっとヒいたよ。

それにさぁ、えっちしてあげるって言ってるのに、
連れ込んだ女そのままにして寝ちゃうとか、男としてどうなの?
デリヘル呼んで、会話だけするお客さんくらい変わってるよ?

あ、それとも何、駆け引き的な?
まず優しくしておいて、今までの男とは違うアピール?

アハハ、何万人単位で男を相手してたら、もうそ~んな人には会ってるよ~。
大抵、外面の良いおじサンやお兄サンほど、乱暴だったりするよね~。

大抵のプレイは全然大丈夫だし、良いよ~むしろ乱暴にしてくれて。
首絞めながらでも良いし、殴ってくれても良いよ。

アハ、アタシこれから壊されちゃうのかな~。きゃ~。

ってアレ、な~んで台所? アタシのこと押し倒すんじゃないの?
……晩御飯作るって、いやいや~。
死んだ魚よりも光の無い目してる人に、これ以上体力使わせられないよ。

ちゃあんと料理作っといたよ~、卵と米、ウインナーとかしかなかったから、
チャーハン作っただけだけどね。

え、なにその意外そうな顔。言ったでしょ、いろんな意味で癒すってさぁ。
ほら、アタシが運ぶから座って待ってなって。

こう見えても、アタシ物覚えは良くてさ~。
なんていうか、一回見たら大抵のことはできちゃうみたいな?
まぁ、学校とかほっとんど行ってなかったから、学力は無いけどね~。

だから、見た目だけならその辺の中華料理屋さん並みだと思うよ?
でも、味は――――アハハ、ばーか。最後まで聞かないで食べるから。

味はね~、アタシ味覚死んでてさぁ。
めっちゃ濃くしないと、味が全然わからないんだよね。
味分かるくらいのものは、他の人からしたらめっちゃ濃いみたいだから、
アタシ的には薄めにしたんだけど、まだ濃かったかな~?

アハハ、まぁ無理して食べないで、いーよ。
え、ちょっとそんな、嘘、泣くほどまずかった?!
ちょっとちょっと、流石にそれはされたことない反応でショック。

……あー、なるほどね……。泣くほどまずかったのかと思ったよ。
確かに仕事で忙殺されてたら、人の料理とか食べる機会ないよね。
アハ、そっかそっか。え~、なんだろうね。
嬉しくて泣かれるとか、それはそれでめちゃくちゃハズいんだけど……。

照れてない! 男となんて、死ぬほど寝てるって言ったでしょ、
こんなことで照れるわけないじゃん!

アタシ先にお風呂入るから! 一番風呂貰うからね!
そこで泣きながらチャーハン食べてろ!

(結衣、お風呂場へ)

まったく、何なのあのおじサン。調子狂うなぁ。
けど、作った料理をちゃんと食べて貰ったのなんて、いつぶりだろ。
味覚イカれてても、ちゃんと料理作る方法とかあるのかな。

って、何でちゃんとした料理作ろうとか考えてんの?!
はぁ~……なんかむかつく。あがったらヒンヒン言わせてやる……。



●3日目「天使と悪魔に愛される女」

おかえり~。
今日もおっそいね~。休日出勤だってのに。

いや~、会った時に自由の話をしたけどさ、おじサン全然自由ないね。
動物園の動物でも、もうちょい自由時間あるよ? 社会人は大変だねぇ~。

でもなんか昨日よりはマシな顔してるよ。
で、どうする? ごはんにする? お風呂にする?
それとも、ア・タ・シ?
アハ、一回言ってみたかったんだよね~。

は? 一緒にお風呂?
…………。どうしたの、急に男出してくるじゃ~ん!
やっと自分から食べる気になったワケ?

良いよ、おじサンの溜まった疲れとか、その他諸々、
ぜ~んぶアタシが洗い流してあげるよ~。

(結衣、おじさん お風呂場へ)

それで、どうする~? ナニする?
アハハ、緊張しすぎじゃない? ちょっとかわいいんだけど。

とりあえず背中洗ってあげようか。
ボディーソープはたっぷり手に取って~、あ、ちょっと太ももに零れちゃった。

しっかり擦って泡立てて~。あ~タオルは良いよ。
手で優しく洗ってあげるからね~。

アハ、おじサンめっちゃ身体あっつ~い、興奮してるのかな~?

おじサ~ン、こ~いうの若い素人の女の子にやってもらうなんて、
滅多にないんだよ~?

どう? 痒いところとかない?
アハ、前の方も同じように優しく丁寧に洗ってあげよっか?
それとも、前を洗う時は、激しい方が好きかな~?

え~、バスタオルはまだちょっとな~、おじサンせっかちさんだね。
ほら、女の子は暗いところでえっちした方が興奮するっていうじゃん?
でも、後ろ向いててくれるなら、胸で背中流してあげても良いよ。

…………ああ、そう。
服の隙間から、お腹見えちゃってたんだね。

はぁ、見えちゃったか~。見えないようにここだけは隠してたんだけどなぁ。
見ちゃってるなら、別に隠す必要もないか。

はい、バスタオル取ったよ。
ごめんね、萎えちゃったでしょ? こ~んな傷見たら、萎えちゃうよね~。

っていうかこんな傷わざわざみたいなんて、おじサンもしかしてそっちの性癖の人?
アタシ的には、それならそれで全然アリなんだけど~。

どうしたもこうしたも、転んでできた傷に見える? これ?
……アハ。まー、おじサンには泊めて貰ってる恩もあるしいいかなぁ。

アタシ、生まれた時からめちゃくちゃ運が良くてさ。
親戚が見てた競馬で万馬券を当てたり、宝くじで一等引いたり、他にも色々。
元々パパとママも頑張り屋さんだったから、収入もそこそこあったんだけど、
アタシの運のお陰で、経済的な不安は一切ないって感じだった。

おじサンはさ、人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)って言葉知ってる?
幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるかわからないのだから、
安易に喜んだり悲しんだりするべきではない――って意味だけど、
まさにアタシの運は、それだったみたいでさ。

ただ幸運が訪れるだけじゃなくて、その分だけ不運が訪れる。

宝くじで一等引いたら、どんな不運に遭ったと思う?
おじサンくらいの歳の人ならみんな知ってる、有名な無差別殺傷事件。
あの事件で、アタシはパパとママと一緒に大怪我を負わされた。

パパとママは怪我が原因でそのまま死んじゃって、
アタシは運よく一命を取り留めたけど――子どもを産めない身体になった、ってワケ。

ちょっとの間は死人みたいにぼーっと生きてたけどさ、
これから何十年もこんな体で1人で生きるなんて、無理だ、って思った。

それに気づいちゃってからはもう、見た目通りの生活をしてきた。
煙草もお酒も死ぬほどするし、妊娠しないの良いことにエッチも死ぬほどしてきたし、
っていうか死にたくてやってきたし。

ホント、運が良いのか悪いのか、
自殺しようとしても、殺されそうになっても、
幸運が働いて、なんだかんだ死ねないんだ、アタシ。

おじサンに声かけたのも、自暴自棄になってる人なら、
アタシのこと殺せるんじゃないかな~って思ったから。

だからさぁ、おじサンがちょっと羨ましかった、っていうのはあるかも。
死ぬことを自由に選べるのって、実は幸せな事なんだよ?
……おじサンが会社に忙殺されてるのは幸せとは言えなさそうだけどさ~。

いや~、喋った喋った、こんなこと人に喋ったのはじめてかも。
アハハ、良かったねおじサン。
もうアタシには、人にあげられるはじめてなんて無いと思ってたけど、
まだこういう処女が残ってたみたい~、ウケる。

それで~、どうしよっか? 続き、する?
言った通り、アタシは何されても良いよ。NGなしってやつ~?

わ、どうしたの急に立ち上がって。なに、口でしてほしいってこと?

え……作ってくれた料理が冷める?
いやもう冷めてるし。ってかカッコつけすぎなんだけど。

わざわざ傷の話聞くために一緒にお風呂入るとか言ったの?
もう、マジで何なのさ、おじサン……。

はぁ……調子狂いっぱなしだよ、ホントにさ。



●4日目「この人と死のう」

(おじサンがアパートに帰宅すると、自分の部屋の辺りが燃えている)

あ、おじサンおかえり~。今日は早いね。

っていうか、日曜日だから普通は休日だっけ?
アタシもさ~ニートだから、結構曜日感覚狂ってるんだよね~。

そうそう、今日はちょっとスーパー行って買い物してきてさ~、
ちゃんとした晩御飯用意してみちゃった~。
アハ、お金はもちろんおじサンのお財布から抜いておいたやつ。

けど、もう作っておいたやつは燃えちゃったかな?
いや~、いきなり隣の家が燃えるんだから、びっくりだよね~。
アハハ、アタシ的には別に日常茶飯事なんだけどさ。

逃げる? なんで?
言ったじゃん、アタシはそもそもさっさと死にたいんだって。
この火事がアタシを殺せるかはわからないけど、
殺してくれるかもしれないなら、是非そのままお願いします~って感じ。

ごめんね。アタシと一緒に居たらこういう風に巻き込まれるのはわかってたのに。
おじサン良い人だから、ちょっと長く甘えすぎちゃった。

……ここ数日は”幸運”だった。照れくさいけど、ホントだよ。
パパとママが死んでから、はじめて居心地が良い場所だったかも。

この火事が”不運”だとするなら、今度こそパパとママのところに行けるかもしれない。
アハ、まぁアタシが天国に行けるかは、わからないけどね~。

この火の回り方じゃ、もう消火活動しても全焼しちゃうと思う。
通帳とかお財布とか、必要なもの持って、おじサンは早く逃げなよ。

ちょっと何?! 離して! おじサン! やだ、離してって!!
離しなよ!!!! 離せ!!!!

…………。……アハ、もしかしてアタシと一緒に死にたいとか?

ひとりぼっちで死ぬのは、寂しいもんね。
1人は、寂しいよ。

でも、おじサンはさっさと1人で逃げて。

……そりゃあ1人で死ぬのは寂しいよ。
けどさ、もしこの”不運”が、アタシを生かしておじサンの命だけを奪う火事だったら、
アタシにはもう、この世がホントの地獄になる。

1人で生き残って、生き地獄を味わうなんて、もう嫌だ。
この先何十年も、ずっと死にたいと願い続けて生きなきゃいけないなんて、嫌だ。

アハ、うら若いピチピチ女子の背中にさ~。これ以上の重荷を背負わせるつもり~?
……お願い。1人で死なせて。

……は? え、ちょっと何でこの流れでアタシの服まさぐってるの?
流石のアタシもこの火事の中、えっちする気には――……ムードによるかな。

あ~、煙草? 最後の一服ってこと?
アハハ、おじサン最後の最後で気が利くね~。
なんか映画のワンシーンみたいで、ウケる。

って、は? いや、何で自分で吸ってんの?
早く逃げて、1人で死なせてって言ってんだけど!!
アンタ、ホントいい加減に――!

……はぁ、もうわかったよ。
煙草、一本ちょうだい。

はぁ~あ、確かにアタシが1人で死ぬ権利もあれば、
おじサンが1人で死ぬ権利もあるわけだよね~。

…………。……アハ、はっずいから言いたくなかったんだけどさ~。
パパとママみたいに、好きな人と一緒に死ぬのって、良いなって思ってたんだ。

妻に先立たれて孤独死とか、交通事故で先立たれるのも怖いし、
1人で死ぬのも怖いじゃん。

だから、実は好きな人と好きな時に死ぬことって、
すっごく素晴らしいことなんじゃないかって。

ある程度人生を楽しんだら、旦那さんと密室で練炭焚いて、
愛を確かめ合いながら死ぬのとか、いいな~とかね。

幸運体質のアタシにはそんな心中、無理だと思ってたから嬉しいよ。

もしもおじサンだけ死んで、アタシだけ生き残ったら、
死ぬまでずっっっっと呪ってやるからね。
死んだ後も探し出して呪ってやるから。親族全員呪ってやる。

……アハハ、半分冗談。
要するに1人で死んだら許さない、ってこと。

……ん。……ん! ん~!
……な~にぽけっとした顔してんの?
火。煙草の火。これじゃあ煙草吸えないじゃん。

も~、ホントこれだからおじサンはさ~……。
ライターじゃなくて、火ならあるじゃん。
おじサンの口元にさ。

ん。

……ふぅ~。死ねると良いね、お互いに。
…………おやすみ、おじサン。



●5日目「人間万事塞翁が馬」

――ン
――――サン
おじ――――サン

おじサン! 起きた!!
アハ、いや~もうちょっとで呪いの準備をするところだったよ~。

ほら、藁人形と五寸釘、ネットショップで注文しちゃった~。
ちゃんと起きたから、キャンセルしておかないとね~。

うん、病院。倒れてるところを、消防の人が助けてくれたみたい。
今回ばかりは、”幸運”なのか”不運”なのか、なんとも判断しにくいね。
あの火の回り方で、一酸化炭素中毒の症状もほとんどないっていうのは、
流石の”幸運”って感じだけど~。

え、料理? アハハ、そんなこと気にしてたの?
燃えちゃった料理のことなんてもう忘れなって~。
料理なんて、これからずっと作ってあげるよ。

その代わり、味は保証しないからね。
ちゃんと食べられるように頑張ってみるけどさ~。

あ、そうそう。さっき病院の人に身元確認をされてさ~。
おじサンの部屋に居たのに、おじサンのことを答えられなかったから、
すっごい怪しい目で見られちゃった。

4日も一緒に居て、一緒に死のうとした仲なのに、
おじサンの名前聞いてなかったからね~。ウケるね。

今度は警察の人が詳しく話を聞きに来るかもしれないからさ、
おじサンのこと、ちゃんと教えてよ。
アタシのことも話すから。

……おじサンはホントモノ好きだな~。
こ~んな穴だらけの女と、普通死のうと思わないよ?
マジでばか。ばかばかばーか。ばか。

でも、大好き。

…………。……はっず!!
あー! 言わないで、言わなくていいよ、恥ずかしいから!

あ~~もう! 言わなくていいって言ってるのに……!!

っ……! これからも死ぬほど”不運”があるだろうけど、
先に死んだら、マジで呪うから!!

死ぬなら、一緒に死ね! わかった?!
もうわかったって! 病室だから! 他の患者さんも居るんだって!

も~~、アタシも好きだよ、ばーか!!!!




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